漢方・薬膳の基本

漢方や薬膳の基本をなす考え方には、陰陽説・五行説・気血水・経絡などたくさんあります。その中から、日本人になじみのある、陰陽説・五行論・気血水について、簡単に説明いたします。独学ですので、若干不安もありますし、独断もあります。正確に深く知りたい人は、専門の書籍等で勉強してください。
■写真は、後漢時代の名医で『傷寒論』の編者、医聖・張仲景(チョウチュウケイ)の大理石像

陰陽説

陰陽二元論で、寒暑・冷熱・多少・明暗など、相反する二極の間に存在するということです。薬膳や漢方では、体を温めるか冷やすか、補うか(補剤)排出するか(瀉剤)などで用います。特に食物や生薬の性(しょう)として、熱・温・平・涼・寒の5つに分けて用います。よく、体を温める食材などと表現するものです。たとえば、ショウガは熱性の食品というように使います。

五行説

■五つに分ける
物事を5つの元素に分けて考える方法。 具体的に分けた方が解りやすいので、漢方や薬膳に関係する、いくつかのカテゴリーごとに書いてみます。
★五行:木―火―土―金―水
●五臓:肝―心―脾―肺―腎
●五竅:目―舌―口―鼻―耳*キョウはあなの意味
●五味:酸―苦―甘―辛―鹹(シオカライ)
●五色:青―赤―黄―白―黒
●五悪:風―熱―湿―燥―寒
●五季:春-夏-土用-秋-冬*土用は長夏(チョウカ)とすることもある。
そして、この順番が縦にそれぞれ対応しています。つまり、
★木―肝―目―酸―青―風―春
★火―心―舌―苦―赤―熱―夏
★土―脾―口―甘―黄―湿―土用
★金―肺―鼻―辛―白―燥―秋
★水―腎―耳―鹹―黒―寒―冬
となり、春は風が強く、目や肝を患いやすいので、青い葉物や酸味のあるモノを食べると良い、などとなる。
五つの関連
五つの要素が、お互いに促進する関係(相生)の場合と、抑制する関係(相克)の場合があります。
☆促進関係(相生):木→火→土→金→水→木
★抑制関係(相克):木⇒土⇒水⇒火⇒金⇒木
促進関係では、木は火を盛んにし、燃えた灰から土が生まれ、土から金属が生まれ、金属は結露して水を生み、水は木を育てる、となる。逆に抑制関係では、木は土の養分を吸い、土は水を吸収し、水は火を消し、火は金属を溶かし、金属は木を切断する、となる。かなり強引なところもありますが、五角形の頂点に各要素を並べてつなぐと、相生は五角形になり、相克は五芒星になります。

■帰経について
五臓に対応し、五腑も含む場合があります。ただし、ここでいう五臓は、西洋医学の内臓とはやや異なり、生理的機能を含んだ概念です。 
●肝経:肝臓、目、情緒系中枢、自律神経系、運動神経系、など。
●心経:心臓、循環器系、大脳皮質、心や精神、など。
●脾経:消化器系、口、など。
●肺経:肺、呼吸器系、鼻、皮膚、など。
●腎経:泌尿器・生殖器系、ホルモン系、カルシウム代謝、神経系の一部、免疫系、造血系、毛髪、など。生命エネルギーの宿る場所ともいわれる。
生薬や食物は、どれかの経に(あるいは複数の経に)入る(作用する)という概念で構成されているわけです。ただし、注意していただきたいのは、これは中国で発達した思想なので、季節や気候は日本にそのまま当てはまらない場合もあります。 たとえば、長夏は土用(季節の変わり目に4つある)の方が当たっているし、旧暦に対応しているので、現在の太陽暦では1ヶ月近く後ろにズレることになります。また、脾経は脾臓に対応させるのは無理があり、むしろ膵臓を当てるのが正しいと、個人的にはおもいます。脾臓は肝経か心経に帰属させるべきでしょう。
おわび:拙書『薬膳酒』では、私の意に反して、脾経に脾臓が入ってしまいました。この場を借りてお詫び申し上げます。

気血水について

気血水は、人間の体の状態を判断する時の指標要素のように使われます。
■気:人体各部の生理機能そのものを指すようで、弱っていれば「気虚」、強すぎれば「亢進」になる。
■血:血液とほぼ同義ですが、循環機能も含まれる。血が少なければ「血虚」、流れが滞っていれば「血瘀」になる。血の気が多いのは元気な証拠といえますが、多すぎる人は、間違いを起こす前に献血や**で抜きましょう。
■水:血液を除いた体液・水分といえます。陰液ともいう場合もある。水が滞って滞留すれば「水滞」、不足すれば「陰虚」になる。

性味(五味五性)・帰経

一般的に漢方や薬膳で、生薬や食物の性質を分類するのに用います。たとえば、「陳皮」:性は温、味は辛苦、帰経は脾・肺経に入る、というように用います。これで生薬や食物の性質を知り、季節や体の不調に対応した薬膳を作るわけです。基本的に、季節に対応した薬膳は旬の食材です。地産地消も薬膳の基本です。人の体は地域の気候や風土に大きな影響を受けています。地域の食材は地域の動物を育てるという、当たり前のことなのです。薬草を使うだけが薬膳ではありません。身近な食材で、お手軽に薬膳料理・薬膳酒を毎日の生活に取り入れる工夫をしましょう。★★これであなたも薬膳マスターの仲間入り★★
■薬草・農業の神様:神農