動物系強壮薬酒の原酒

動物性素材は、植物性素材と異なりタンパク質や動物性脂肪が多く含まれるので、酸化・腐敗・変性が起きやすい性質があります。したがって、漬け込み原酒のアルコール濃度は高めにした方がトラブルの予防になります。最低でも35度のホワイトリカー、場合によっては50度くらいの原酒を使いたいものもあります。現在、日本で製造・市販されている飲料用アルコール類は、一部の例外(沖縄南西諸島の泡盛類、輸入品)を除いて50度未満に制限されています。高濃度の原酒が欲しい場合は、75度のラム酒と35度のホワイトリカーをブレンドしたりして濃度調節をしてください。50度前後の酒は結構高価なものが多いので、単独で使うと出費がかさみます。日本も高濃度で安価な酒が手に入るとよいのですが、アルコールは社会的に逆風なので、暫らくは期待できないでしょうから、皆さんも工夫して原酒調達してください。

ヘビ類の酒

 ★強精酒というと、まず思い浮かぶのがマムシ酒に代表されるヘビ類の酒でしょう。効くんですか?という質問には、効くんです!とお答えしておきます。ただし生臭い(独特のヘビ臭)ですよ。写真のハブ酒は8Lビンに漬かっていますが、既に4回目の漬け込みでほぼデガラシ状態です。初回はお店で出し、2,3回目は私が飲んでしまいました。ヘビの漬け込み割合ですが、大きめのマムシ1匹で原酒1.8Lくらいを目安にしてください。生素材を漬ける場合の原酒は40度以上、できれば50度以上が理想です。写真のハブ酒は47度くらいに調製して漬けました。乾燥素材の場合は35度でも大丈夫ですが、高いにこした事はありません(写真のコブラは乾燥品、35度)。本来は入れっぱなしにせず、1年ほどしたら全て濾して細口ビンに保存し、原酒を新たに加えて2番絞りにします。なお、飲む時の注意点を1つ。アルコール濃度が高いので水割りにしたいと思いますが、水で割ると生臭みが際立ちますので、ロックでやってください。もう1つ、翌日の汗はヘビ臭くなりますので気をつけてください。強壮・強精効果はありますが、それのみに注目がいってしまうのは問題です。さまざまな健康効果、たとえば冷えや血行不良、美肌・美容効果、虚弱体質や胃腸虚弱などにも有効ですから、各種薬酒にブレンドして用いましょう。生臭みがだめな方は、乾燥素材を漬けましょう。煮干のような風味になりますが、独特の生臭みはありません。生より効能が落ちる感覚は否めませんが、飲めないのでは話しになりませんから。

その他の動物酒

■哺乳類のペニス類
★中国の有名な強精酒に「至宝三鞭酒」というのがあります。広狗鞭(犬の陰茎、一説には狼)、鹿鞭(鹿の陰茎)、海狗腎(ゴマフアザラシの陰茎、オットセイという説もある)の三種の陰茎と睾丸を中心に、各種の強精動植物生薬を処方して漬け込んだものです。まあ究極の男性用強精酒といえるでしょう。中国製が市販されていますので、興味のある方は試してみてください。
●私は海狗腎酒と鹿鞭酒を作りましたが、単独で作るよりも各種生薬を調合して複方酒にした方が飲みやすくて効果も広くなると思います。ただし、動物生薬は高価なので、無理して作る必要はないと思います。基本はホルモン療法と同じですが、未知のアミノ酸なども期待されます。効能はそれなりに期待できます。なお、中国の薬用動物学という本では、哺乳動物の陰茎と睾丸は、さまざまな動物で利用されていますので、牛や豚・馬・犬などなんでもよいと感じます。
●中国で鹿は強精動物として有名で、角(鹿茸)や陰茎(鹿鞭)はもちろん、全身の骨、尻尾の骨?、内臓各部、血液、肉や筋、胎児まで、薬用に利用されます。これらを酒に漬けたり食べたりすれば、強精薬になると思います。ただ、なんで鹿なのかよく解りません。他にも強そうな動物がたくさんいるのに、鹿はどんな成分を持っているのでしょうか?

海の生き物
★有名なのが海馬(タツノオトシゴ)・海龍(ヨウジウオ)です。男性ホルモン様成分を含んでいるらしく、中国では強精生薬として扱われています。他には、海蛇類(エラブウミヘビ等)、海星(イトマキヒトデ)などもありますが、私は海無し県に育ったのでなじみがありません。海星以外は漬け込みましたが、効能はよく分かりませんでした。海馬・海龍は少し塩気と魚っぽさを感じました。エラブウミヘビは燻製品を漬けましたが、けっこう脂分が出てきました。煮干と蛇の干物(反鼻など)の中間的風味です。酒としては陸の蛇の方が効くように思いましたが、大根といっしょに鰤大根風に煮て食べた時は、滋養を感じました。薬酒だけでなく、薬膳にもどうぞ。

■ヘビ以外の爬虫類
  
★トカゲの仲間で蛤蚧(ゴウカイ・オオヤモリ)㊨や馬鬃蛇(マソウダ・キノボリトカゲ)㊧、カメの仲間でスッポンが有名です。中国製の輸入市販品がありますので、興味のある方はどうぞ。蛤蚧は生薬を入手して漬けました。蛤蚧は尻尾に成分があるということで、尻尾のちゃんとしたものを選びましょう。基本的に雄雌対で売られています。1対で1~1.5升の原酒でいいでしょう。スッポンは、生を築地市場で買ってきて捌いたのですが、焼いて乾燥させようとして失敗しました。脂肪が多く、火事のように焦げている割に火が通らず、干しても乾きませんでした。さらに甲羅が大きく、そのままではビンに入らないので、結局細かく捌くことになりました。苦労して漬けましたが、脂肪が浮いて変色し、何回か濾して今も保存してあります。市販の燻製スッポンを使うことをおススメします。スッポンは鍋が一番で、あとは時雨煮のようにしてもいいでしょう。甲羅も生薬として使えますから捨てないでください。

■昆虫類
★地球環境に最も適応した動物種であり、特殊能力の宝庫である昆虫は、21世紀のキーフーズになるかもしれません。中国生薬としては桑螵蛸(ソウヒョウショウ・カマキリの卵塊)、雄蚕蛾(ユウサンガ・雄の蚕蛾)、九香虫(キュウコウチュウ・カメムシ類)あたりが有名です。他の候補としては、蟻(アリ)とスズメバチ。私は雄蚕蛾以外は漬けてみました。カマキリは成虫も漬けました。昆虫は全体的に、特有のキチン質味というか昆虫味ともいえる風味があります。カメムシは特有の臭みはありますが昆虫味は無く、むしろ植物性の花香のように軽い風味です。香菜のような感じかな。ただし、単独のカメムシ酒を飲んだら、翌日の便がとてもゆるくなりました。下痢というわけではありません。調べてみたら、強壮作用のほかに、漢方の「滑(カツ)」の作用があるとのこと。つまり便を滑らせるということ。「渋(ジュウ)=収斂」の作用を持つ生薬、たとえば五味子や山茱萸などといっしょに漬けるとよいと思います。効果の程は、強壮効果はあるかなと思いますが、強精効果は特には感じませんでした。何回か飲まないと無理なのかもしれません。日々飲んでいれば、強くなりそうです。

■鹿茸(ロクジョウ)
★強壮剤として有名な鹿茸は、鹿(満州赤鹿・満州鹿・日本鹿など)の袋角をスライスして用います。ただし鹿茸は医薬品なので、食品として逃げられるトナカイの角などが用いられることもあります。味は膠質味で塩気のようなものを感じました。効果はあります。植物性の素材と漬けると飲みやすく、効果も相乗的になるでしょう。

植物性素材との複方酒とブレンド

■動物酒を美味しく?効果的に飲む方法として、植物性素材をいっしょに漬け込むやり方と、植物酒とブレンドして飲む方法があります。強精系植物素材を数種類入れれば、市販のドリンク類もブッ飛びの強精酒になります。
■主な強精植物生薬として、補陽素材:淫羊藿・蛇床子・菟絲子・ニンニク・人参・韮子・覆盆子・五加皮・巴戟天など、補陰素材:肉蓯蓉・鎖陽・草蓯蓉・胡麻子・石斛・五味子・黄精・玉竹・枸杞子・山薬など、を加えてみてはいかがでしょう。