滋養強壮は薬酒の王道

★中国では、薬酒で病気を治そうという考えかたもあり、治療用薬酒がいくつもあります。しかし本来薬酒は滋養強壮・老化予防・強精回春といった、人間の自然な衰えを緩やかに補ったり、ちょっとした変調(未病)を修正し病気にしない働きが王道です。人々の快適な生活に寄与するもの。それが薬酒です。

身近な滋養強壮酒

 
■薬用人参酒:ウコギ科オタネニンジン属の多年草。市販の形状は色々ありますが、マルのままより刻んで乾燥してある生薬:人参の方が扱いやすく、抽出も早いので、そちらで紹介します。乾燥生薬100~120g/25度1.8L。1ヶ月から飲めますが、半年くらい濾さなくても大丈夫です。マルのまま漬けると抽出が遅く、1年以上かかる場合もあります。独特のクセがある薬酒で、虚弱体質や胃腸の弱い方、病後の回復期、疲労困憊、貧血、冷え、下痢、食欲不振、頻尿、ED、ストレスや神経衰弱などによい。のぼせや暑がりの人は向かない。
■セージワイン:シソ科サルビア属の多年草。古代ローマ時代から薬用に用いられてきたハーブで、日本では料理用ハーブとして知られる。生セージ60~80g/赤ワイン720ml+35度720ml/砂糖100g。1~2週間で濾す。風邪予防、消化促進、疲労回復、咳、声がれ、血行促進、下痢や便秘、免疫力向上などによい。肉料理などに加えても美味しい。なお、同じシソ科のハーブ・ローズマリーやタイムでも美味しいハーブワインが出来ます。
 
■枸杞(クコ)酒:ナス科クコ属の落葉低潅木。薬膳素材として中国材料売り場などで入手できる。中国や韓国では老化予防の薬酒として有名で、市販もされている。乾燥クコの実150g/25度1.8L/レモン2個分。砂糖はお好みですが、クコに甘味があるので控えめにする。2~3ヶ月で濾す。紹興酒と35度焼酎を半々にブレンドして原酒として使うと、薬味が増して美味しい。肝腎を補い、肺を潤し、目を明らかにする。老化予防、脂肪肝予防、強壮強精、疲労回復、腰膝痛、眼精疲労などに。
■黒胡麻酒:ゴマ科ゴマ属の一年草。黒ゴマ200~300g/25度1.8L。黒ゴマは焙煎して漬け込む。2、3週間で仕上がりますが、2ヶ月ほど置いてもよい。ゴマは黒・白・金など色によっていくつかありますが、薬効・風味ともに黒ゴマが一番。ちょっと高価ですが、国産を使うと風味が抜群です。抗酸化作用が強く、老化予防にとてもよい。肝腎を補い、五臓を潤す、陰を養う。滋養強壮、強精、虚弱体質、若白髪、疲労回復、筋骨強化、胃腸強化、気力強化、老化現象全般などによい。

野生&生薬の滋養強壮酒

 
■マタタビ酒:マタタビ科マタタビ属の蔓性落葉木本。生果実400g/35度1.8L/砂糖300g。半年~1年で濾す。果実は虫がついて凸凹の円盤状に変形した虫癭(チュウエイ)の方が薬効があるといわれる。マタタビは山林の縁などによく見られ、湿気のあるところを好みます。初夏には新葉が半分白いので、遠くからでもよく目立ちます。中国では茎葉を生薬・木天蓼(モクテンリョウ)として利用しますが、日本では虫癭を用いています。滋養強壮によく、腰膝痛、リウマチ、神経痛、ヘルニア、冷え、胃弱などによい。梅と混合で漬けても美味しい。この場合マタタビは後から加える。
■ウコギ酒:ウコギ科ウコギ属の落葉低木で雌雄異株。主に根皮・樹皮を生薬・五加皮(ゴカヒ)として利用する。生茎葉200~300g/35度1.8L/砂糖150g。生薬・五加皮は100gくらい。果実も果実酒に出来る。滋養強壮、強精、疲労回復、食欲増進、神経痛、腰痛、老化予防、足腰の衰え、冷え、EDなどに。中国では不老長寿の薬酒として五加皮酒が飲まれますが、これは五加皮の他に数種の生薬がブレンドされています。米沢藩の名君・上杉鷹山が救荒作物として奨励したことでも有名。
 
■ボケ酒:バラ科ボケ属の落葉低木。観賞用として花色に種類が多い。生果実600g/35度1.8L/砂糖300g。半年~1年後にろ過する。果実は結実しにくく、さらに落果しやすいので、10月下旬~11月上旬に収穫し、落果しているものも用いる。果実は非常に堅いので輪切りにして漬け込む。早めに収穫し、追熟させてもよい。疲労回復、食欲増進、下痢、嘔吐、痙攣、こむら返り、リウマチ、脚気、喉の渇き、利水などに。果実酒としては屈指の美酒です。少量でも手に入ってら是非漬けてみてください。
■山茱萸(サンシュユ)酒:ミズキ科ミズキ属の落葉小高木。生果実(種を取る)300~400g/35度1.8L/砂糖150g。生薬・山茱萸は100gくらい。3~6ヶ月で濾す。果実はナイフなどで縦に切れ目を入れ、種を取り除いて用いる。かるく干してもよい。滋養強壮、疲労回復、腰膝鈍痛、めまい、耳鳴り、寝汗、頻尿、ED、遺精、月経不止などに。春は葉っぱに先駆けて黄色い花を咲かせるので春黄金花(ハルコガネバナ)ともいい、晩秋には落葉後も真っ赤な果実が鈴なりに残るので秋珊瑚(アキサンゴ)と呼ばれる。落葉後が収穫しやすい。
■五味子(ゴミシ)酒:モクレン科マツブサ属の落葉蔓性低木・チョウセンゴミシ。生果実400~500g/35度1.8L/砂糖150g。生薬・五味子は100gくらい。半年ほどで濾す。滋養強壮、疲労回復、思考力減退、神経衰弱、肝臓強化、眼精疲労、貧血、下痢、神経痛、口渇、寝汗などに。朝鮮五味子と呼ばれているが、日本在来の植物。秋に濃赤色に熟すので、9~10月に収穫する。山林の縁など、半日陰のところに生育する。

生薬処方の滋養強壮酒

■七宝(シチホウ)酒:何首烏(カシュウ)・菟絲子(トシシ)・破胡紙(ハコシ)・茯苓(ブクリョウ)・枸杞子(クコシ)・当帰(トウキ)・牛膝(ゴシツ)、以上7種の生薬をブレンドした複方薬酒。老化予防、生活習慣病予防、疲労回復、腰膝強化、強精回春、無気力、若白髪、血色不良、美容などに。
■周公百歳(シュウコウヒャクサイ)酒:黄耆(オウギ)・地黄(ジオウ)・熟地黄(ジュクジオウ)・亀板(キバン)・川芎(センキュウ)・芍薬(シャクヤク)・麦門冬(バクモンドウ)・防風(ボウフウ)・白朮(ビャクジュツ)・羗活(キョウカツ)・茯苓(ブクリョウ)・山薬(サンヤク)・枸杞子(クコシ)・当帰(トウキ)・人参(ニンジン)・五味子(ゴミシ)・桂皮(ケイヒ)・陳皮(チンピ)、以上18種の生薬をブレンドした複方薬酒。老化予防・滋養強壮の傑作薬酒。味もよく飲みやすい。強精を望む場合は補陽生薬を加えてもよい。