強精薬酒について

中国薬酒の発展は、主に強精酒の開発にあったと言っても過言ではないと思います。古代から権力者のたどる道は酒池肉林・性の饗宴となり、肉体の限界を超えた放蕩三昧の結果、強精回春酒に救いを求めることになるわけです。金に糸目をつけないで、ひたすら探求した結果が強壮・強精・回春・不老不死の妙薬と薬酒です。現代で言えば、強壮ドリンクやサプリメントといったところでしょうが、法規制もないし財力・執念が違います。これを見るとその道では、人間も進歩したようで全く変わってないということでしょうか。

身近な強精回春酒

 
■ニンニク酒:ユリ科ネギ属の球根多年草。生鱗片500g/35度1.8L/レモン2個分。皮を剥いた鱗片をラップに包んで電子レンジで加熱する。加熱後適当に切って漬け込む。レモンは皮を剥いてスライス。2ヶ月くらいで飲めるが、1年くらい置いてから濾してもよい。強壮強精、疲労回復、動脈硬化予防、冷え、発汗・利尿促進などに。独特の硫黄化合物が効能のもとで、ビタミンB1吸収を促進する。ピラミッド時代から知られる強壮野菜で、各種料理のコクと風味付けに欠かせない。日常的に摂りたい素材です。
■ニラ酒:ユリ科ネギ属の多年草。葉と種子を酒に出来るが、ここでは種子を紹介します。種子(生薬・韮子キュウシ)150g/35度1.8L。3ヶ月くらいで飲めるが、素材は2,3年入れたままでも問題ない。露地栽培では7~9月に結実するので、花茎ごと採取して干し、種を採る。強壮強精、興奮、頻尿、腰膝軟弱・痛み、ED、遺精、遺尿、下痢、帯下などに。中国や日本では最も古い野菜の1つで、ニンニク同様”五葷”(臭気が強く、精のつく野菜ベスト5)の1つに数えられている。
 
■ナルコユリ酒:ユリ科アマドコロ属の多年草。生薬・黄精(オウセイ)として知られる。生根茎500g/35度1.8L。生薬・黄精は120~150g。生根茎は洗ってから適当にカットし、軽く干してから漬け込む。3ヶ月くらいから飲めるが、半年~1年置いて濾すとよい。生薬・黄精は1~2ヶ月で仕上がる。滋養強壮、強精、虚弱体質、疲労回復、健胃整腸、筋骨強化、リウマチ、糖尿、動脈硬化、若白髪などに。中国の生薬は主にカギクルマバナルコユリを使う。やや粘性があるクセのない酒です。
■アマドコロ酒:ユリ科アマドコロ属の多年草。生薬・玉竹(ギョクチク)または萎蕤(イズイ)。分量、処理などはナルコユリに準じる。黄精と兄弟植物で、生薬でも起源植物がかなり混乱している。薬効もほぼ共通するが、咳や乾きを潤し、補血する作用がある。やや渋味があるがクセの少ない酒です。。
■石斛(セッコク)酒:ラン科デンドロビウム属の常緑多年草。生茎300g/35度1.8L。生薬・石斛は100g程度。茎はカットして漬け込み、2・3ヶ月くらいから飲める。半年~1年で濾す。強壮強精、健胃整腸、解熱、口渇、ED、美声、皮膚麻痺などに。陰や養い清熱するので、虚弱体質や冷え性の人は避ける。デンドロビウム属のものは基本的に使えるようで、大き目のものを使うと量をかせげる。

生薬の強精回春酒

  
■肉蓯蓉(ニクジュヨウ)酒:ハマウツボ科ホンオニク属の寄生多年草、ホンオニク(左・中)など。中国周辺の砂漠地帯に生える。生薬・肉蓯蓉100~150g/25~35度1.8L。1~2ヶ月で飲めるが、半年くらいは置いてもよい。黒褐色の比較的クセのない薬酒に仕上がる。強壮強精、虚弱体質、ED、不妊症、疲労回復、腰膝の冷え・痛み、便秘、帯下、高血圧などに。ハマウツボ科の寄生植物は強精作用のあるものが多く、日本でもハマウツボ、オニク(キムラタケ)などが利用される。
■鎖陽(サヨウ)酒:キノモリア科キノモリウム属の寄生植物・オシャグジタケ。肉蓯蓉と同じ環境に生え、同じような形態なので、かつてはホンオニク属に分類されていた。生薬・鎖陽100~150g/25~35度1.8L。1~2ヶ月で飲めるが、半年くらい置いてもよい。強壮強精、ED、精力減退、虚弱体質、老衰便秘、健胃整腸、胃痛、胃酸過多、強心などに。褐色の神秘的な薬酒に仕上がる。
■イカリソウ酒:メギ科イカリソウ属の多年草(トップの写真も)。生茎葉150g/35度1.8L/砂糖150g。生薬・淫羊藿(インヨウカク)は50gくらい。茎葉は刻んで漬け込み、2ヶ月くらいで飲めるが、半年くらいは濾さなくてもよい。生薬は1ヶ月から飲める。中国では昔から強壮強精として有名で、古名は仙霊脾(センレイヒ)と呼ばれ、数々の強精酒が作られた。強壮強精、ED、精液増加、興奮、腰膝軟弱、リウマチ、神経衰弱、無気力、健忘、冷え、筋骨強化などに。のぼせ・暑がりの人は用いないこと。多量摂取は副作用の危険がある。
 
■蛇床子(ジャジョウシ)酒:セリ科ハマゼリ属の1,2年草・オカゼリの種子。生薬・蛇床子100g/25~35度1.8L。2ヶ月くらいで飲めるが、半年くらい置いてもよい。ED、女性器の痒み、女性不妊、帯下、冷感症、腰膝疼痛、血色不良、強壮強精などに。女性ホルモン類似作用、男性ホルモン様作用がある。日本では蛇床子の代用としてハマゼリやヤブジラミが使われて来たが、強精という見地でどの程度効果があるかは不明。
■菟絲子(トシシ)酒:ヒルガオ科ネナシカズラ属の蔓状寄生1年草、ネナシカズラ・マメダオシなどの種子。生薬・菟絲子150g/25~35度1.8L。3ヶ月くらいで飲めるが、半年くらい置いてよい。強壮強精、ED、遺精、腰痛、虚弱体質、冷え性、腰膝強化、残尿、視力減退、老化予防、美肌などに。

生薬処方の強精回春酒

■禿鶏仙霊(トケイセンレイ)酒:中国の古い性医学書『洞玄子』に出てくる「禿鶏散」に、仙霊脾(淫羊藿)を追加して酒に仕上げた、オサム師オリジナルの調合です。蛇床子(ジャジョウシ)・肉蓯蓉(ニクジュヨウ)・五味子(ゴミシ)・菟絲子(トシシ)・遠志(オンジ)・淫羊藿(インヨウカク)をブレンド。精力減退、ED、早漏、遺精、女性不妊、房事後倦怠、性欲冷淡、神経衰弱、催淫などに。年配者が補陽剤の効果にまかせて過淫に走ると、精が涸れ果ててしまう恐れがあるので、程ほどにする。
■仙霊脾(センレイヒ)酒:中国の文献には二千年も前から、仙霊脾酒とか仙霊酒という名前の薬酒が幾つも登場します。仙霊脾は淫羊藿(イカリソウ属)のことで、これを主薬にした強精薬酒が壮んに作られていた証拠でしょう。ここではオサム師が、いくつかのブレンドを再編し、陰陽のバランスを考え、壮陽に偏らない調合にしてみました。淫羊藿(インヨウカク)・茯苓(ブクリョウ)・女貞子(ジョテイシ)・肉蓯蓉(ニクジュヨウ)・大棗(タイソウ)。性機能減退、ED、早漏、遺精、女性不妊、腰膝衰弱、筋骨痛、神経衰弱、健忘、虚弱体質、老化予防などに。