精神疲労の薬酒について

★何かといえば「ストレス社会」という言葉が飛び交う現代。ちょっと神経質になりすぎなきらいもありますが、生活に潤いを加える意味でも、薬膳酒を取り入れてはいかがでしょう。もともと酒自体がストレス発散的飲料でしたが、過度の飲酒でストレスを加えることになっては本末転倒。ほどほどに、楽しみながら飲むには薬膳酒がピッタリ。重ねてストレスに有効な素材のエキスが溶け込んでいれば、うれしいおまけつきですね。

身近なストレス解消薬酒

 
■ローズマリーワイン:シソ科ロスマリヌス属の常緑小低木(写真トップ)。料理用ハーブとして有名で、園芸植物としても可愛い。生茎葉80g/赤ワイン720ml+35度720ml/砂糖100g。1週間で濾して仕上げる。健胃、消化促進、駆風、頭痛、強壮、更年期、閉経、精神不安、イライラ、老化予防、不眠、美肌などに。美容効果があり、婦人の要薬とされる。樹脂香が強いので、素材を半分以下にしてもよい。少量をロックで飲むと美味しい。
■シソ酒:シソ科シソ属の1年草。一般的に赤ジソと青ジソが知られるが、色は赤、香りは青がよいので、赤青混合して漬けるとよい。生葉150g/35度1.8L/レモン2個分。2週間で濾して仕上げる。赤ジソの色素はレモンなどの酸味で美しい赤紫になるので、必ず加えてください。発汗解熱、咳止め、健胃整腸、疲労回復、鬱気・ストレスの気分発散などに。梅酒にシソ酒をブレンドしたシソ梅酒も美味しくてきれいです。
■ミント酒:シソ科ミント属の多年草。代表的な種はペパーミント、スペアミント、ニホンハッカなどで、メントールを多めに含むのが特徴。生葉100~150g/35度1.8L/レモン1個分。砂糖を150gくらい加えてもよい。2週間で濾して仕上げる。新陳代謝促進、芳香性健胃、駆風、解熱、頭痛、めまい、鬱気、のどの腫れ、目の充血、清涼などに。色々な食品に清涼感を加えるハーブで、ミント酒もさまざまな使い方が出来る便利な薬膳酒。挿し芽で簡単に発根し、栽培も簡単なので、プランターや鉢植えにしておくと便利に使える。
 
■カモミール酒:キク科カミツレ属の1年草、ジャーマンカモミールの花。多年草のローマンカモミールも利用できるが、栽培が少ない。生花100g/35度1.8L/砂糖150g。レモンを加えてもいいし、原酒を白ワインと35度で半々ブレンドしたものでも美味しい。乾燥花なら40g程度。1週間で濾して仕上げる。イライラ・興奮の解消、風邪予防、不眠、胃痛、胃のむかつき、消化不良などに。生の花は新鮮なリンゴの香りがするので、ハーブティーとしても人気がある。ドイツでは安眠茶として、赤ちゃんにも飲ませるらしい。
■クチナシ酒:アカネ科クチナシ属の常緑低木。果実を乾燥させたものが生薬・山梔子(サンシシ)。乾燥果実100g/25~35度1.8L/レモン2個分。2週間で仕上がるので、1ヶ月以内に濾す。黄疸や肝炎にも利用されるが、薬酒は用いないこと。吐気、胸のつかえ、更年期、解熱、肝機能保護、充血、不安不眠などに。黄色の食品色素として、きんとんなどにも利用されます。弱い苦味があるので、黒蜜や蜂蜜を加えて飲み易くしましょう。

生薬のストレス解消薬酒

 
■エゾウコギ酒:ウコギ科ウコギ属の落葉低木。根皮を乾燥したものが生薬・刺五加(シゴカ)。乾燥生薬100~150g/25~35度1.8L。1ヶ月で飲めるが、2ヶ月くらいで濾して仕上げる。薬用人参より良好なアダプトゲン作用(体全体を抵抗力が増した状態にし、病的状態からの正常化を促す作用)がある。滋養強壮、食欲増進、疲労回復、ストレス、不眠、腰痛、筋骨強化、リウマチ、抵抗力増強、強精、EDなどに。シベリアニンジンとかエレウテロコッカスとも呼ばれる。北海道以北に自生する寒性植物なので、生薬を利用する。
■天麻(テンマ)酒:ラン科オニノヤガラ属の多年生腐生植物・オニノヤガラの根茎。腐生植物は枯木や落葉を分解する菌類(ナラタケ菌など)と共生し(寄生に近い)、菌から栄養をもらって生育する植物群で、基本的に葉緑素は持たない。同じラン科のツチアケビも腐生植物。生薬・天麻100~150g/25~35度1.8L。1ヶ月から飲めるが、2ヶ月くらいで濾して仕上げる。突発性の頭痛、手足の麻痺、めまい、ヒステリー、てんかん、言語麻痺、強壮強精、ED、リウマチ、関節痛などに。抗痙攣作用がある。腐生ラン類は探して見つかるというより、偶然出会う感じなので、野生品を期待しないで生薬を利用する。
 
■香附子(コウブシ)酒:カヤツリグサ科カヤツリグサ属の多年草・ハマスゲの塊茎。生塊茎300g/35度1.8L。生薬は100g。生は3~6ヶ月、生薬は2ヶ月くらいで濾して仕上げる。月経痛、月経不順、更年期、ヒステリー、鬱気、神経性胃炎、十二指腸潰瘍などに。地上部の全草も莎草(サソウ)の名で薬用にする。世界中の温暖帯に分布し、日本では関東以西の日当たりのよい砂地や原野、河原、田畦などに生育する。
■ナツメ酒:クロウメモドキ科ナツメ属の落葉小高木。生果実500g/35度1.8L。生薬・大棗(タイソウ)は200g。皮が丈夫なので切って漬ける。生は半年~1年、生薬は2ヶ月くらいで濾して仕上げる。滋養強壮、ヒステリー、神経衰弱、鬱気、食欲不振、軟便、貧血、血行不和、疲労回復、美容などに。中国では「毎日ナツメを食べれば老いない。」といわれている。

生薬処方のストレス解消酒

■行気回生(コウキカイセイ)酒:気分がふさいだり、イライラしたりという精神的な不安定状態の改善に効果を発揮する薬膳酒です。香附子(コウブシ)、川芎(センキュウ)、蒼朮(ソウジュツ)、山梔子(サンシシ)をブレンド。精神安定に効果的な天麻、気分転換によい薄荷を加えてもよい。気分発散系の調合です。
■養心(ヨウシン)酒:茯苓(ブクリョウ)、竜眼肉(リュウガンニク)、酸棗仁(サンソウニン)、人参(ニンジン)、白朮(ビャクジュツ)、遠志(オンジ)、大棗(タイソウ)をブレンド。不眠、イライラ、昂ぶり、精神不安、無気力、躁鬱、神経過敏、疲労感、血色不良、食欲不振などに。発散系の行気回生酒とは異なり、養心酒は気分を落ち着かせ、安眠を誘う傾向が強い薬膳酒です。