女性向け薬酒について

★婦人科系の不調を”血の道症”というように、女性の不調はほとんどが血の異常(血虚や血瘀)に由来します。女性は月経があるので、慢性的な血虚(血液の不足)状態にあります。なお、肥満だから血が多いということではありません。貧血、冷え性、ヒステリー、白髪、抜け毛、月経不順、のぼせなどは血虚に由来します。のぼせは血の気が多いという感じがしますが、血虚で肝気が上亢しやすくなっているのです。男性ののぼせとは少し異なります。肌荒れや便秘も元を正せば血虚や血瘀(血の滞り)に由来します。これらの改善には薬膳酒が極めて有効です。日々の生活に是非取り入れてください。

不妊治療について

★子供が欲しいという願望やプレッシャーに押しつぶされそうな生活を送っている方には、生ぬるい考えと思われるかもしれませんが、私の考え方を述べさせていただきます。体外受精の成功率などを考えると、その前に妊娠できる体を作ることが重要だと思います。血虚・血瘀で虚弱な体では受精卵も着床・生育は難しいでしょう。まずは消化器系を調えて消化吸収を確保し、腎経を補って生殖器系を強化、血虚・血瘀を改善して体調を整えることが重要です。卵巣には冷えが最も大敵です。体を芯から温める食材を摂り、体を冷さないように心掛けることです。無理なダイエットなどはもってのほか。健康な体を作ることが妊娠への第一歩でしょう。

身近な女性向け薬酒

 
■黒豆酒:マメ科ダイズ属の1年草・大豆の1品種で、種皮が黒い仲間の総称。黒豆400~500g/25~35度1.8L。黒豆は皮が弾けるまで乾煎りしてから漬け込む。1ヶ月で飲めるので、2ヶ月以内に濾す。更年期、白髪、抜け毛、美肌、貧血、血行促進、免疫強化、頻尿、不眠、便秘、浮腫、水腫のほか、生活習慣病全般の予防にも有効。オサム師は黒豆200g+黒胡麻100g/25~35度1.8Lで作る黒豆黒胡麻酒を、女性の若返り薬酒としておススメします。香ばしくて美味しいお酒です。砂糖を150gくらい加えてもよいでしょう。
■ハトムギ酒:イネ科ジュズダマ属の1年草。脱穀したものが生薬・薏苡仁(ヨクイニン)。脱穀済みのハトムギを購入するのが手っ取り早い。ハトムギ200g/25~35度1.8L。ハトムギは狐色になるまで乾煎りしてから漬け込む。1ヶ月で飲めるが、2ヶ月くらい熟成してもよい。新陳代謝促進、強壮強精、抗腫瘍、健胃整腸、下痢、筋肉のひきつり等のほか、肌荒れ、シミ、くすみ、吹き出物などの肌トラブルにも効果的。
 
■サフラン酒:アヤメ科クロッカス属の球根多年草。花柱(めしべ)だけをスパイスとして、主に黄色の色付けに使う。パエリアやブイヤベースが有名。乾燥花柱5g程度/25~35度1.8L。すぐに色が出るので、1週間くらいで濾し、褐色ビンなどにストックする。色素が重要で、光で分解が進むので注意する。月経痛・月経不順・無月経など婦人科全般、憂鬱、胸苦しさ、打撲の痛み、風邪予防、新陳代謝促進などに。妊婦は用いないこと。ほとんど重さが無いので、高価なスパイスになる。生薬名は蕃紅花(バンコウカ)または蔵紅花(ゾウコウカ)。地中海沿岸諸国が主な産地。
■生姜酒:ショウガ科ショウガ属の多年草。世界的に有名なスパイスで、日本では漬物や薬味などに多用される。新ショウガと根ショウガ(種ショウガ。一般に薬味に使われるやつ)があり、根ショウガの方が薬効が強いといわれるが、風味は新ショウガの方が断然よい。生根茎500g/35度1.8L。スライスして漬け込めば2ヶ月くらいで飲めるので、半年を目安に濾して保存する。寒気の発散、新陳代謝促進、健胃整腸、腹痛、胸腹のつかえ・むかつき、腰膝痛、風邪予防、嘔吐、酔い止め、体液停滞、冷え性、二日酔い、痰咳などに。ショウガは品種がいくつかあるが、今は収量の多いオオミショウガ(近江(オウミ)ショウガ)がほとんど。薬効や辛味・風味は、赤味の強い金時ショウガの方が好いといわれる。
 
■タンポポ酒:キク科タンポポ属の1年草の総称。生薬名・蒲公英(ホコウエイ)。現在、日本では在来種のタンポポより西洋タンポポの方が一般的になった。生全草150g/35度1.8L。根はスライスし、地上部はそのまま漬け込む。1ヶ月で飲めるので、2ヶ月以内に濾す。利尿、催乳、健胃整腸、新陳代謝促進、強壮、疲労回復、食欲増進、肝臓強化、解毒消腫、血行促進、美肌などに。西洋タンポポなどは周年花をつけるが、基本的に新葉が伸びて花をつける春に採取するのがよい。
■ライチー酒:ムクロジ科レイシ属の常緑高木で雌雄異株。茘枝(レイシ)が正式和名。亜熱帯アジアに分布する果樹で、楊貴妃が好んだことで有名。生果実900g/35度1.8L/レモン2個分/砂糖150g。皮と果肉と種に分け、いっしょに漬け込む。1ヶ月くらいから飲めるが、1ヶ月で皮、2~3ヶ月で果肉、半年~1年で種を取り出すのが理想的。面倒ならば、2~3ヶ月で全部を濾してもよい。冷凍輸入されている果実を解凍して利用してもよい。頭痛、イライラ、精神安定、胃痛、のどの腫れ、渇き、できもの、浄血、滋養強壮、食欲増進、美容などに。独特の甘い香りの美酒で、柑橘系やトロピカル系の果実酒とブレンドすると更に美味しい。

野生&生薬の女性向け薬酒

 
■ハマナス酒:バラ科バラ属の落葉低木(写真トップ)。花蕾や果実を酒に漬けるが、ここでは花蕾を利用。花蕾は生薬・玫瑰花(マイカイカ)と呼ばれ、中国ではハマナスの亜種で八重咲きのものを利用する。生の花蕾100g/35度1.8L。1週間で濾して仕上げる。疲労回復、月経不順、月経過多、帯下、打撲、悪心嘔吐、下痢、鬱気などに。開花直前の蕾を摘んで漬けるが、いっぺんに集らない時は毎日採って漬ける。蕾は早朝に収穫し、水洗いしないで漬け込むのがよい。芳香性のバラは全て同様に利用できるが、園芸栽培品は農薬に注意する。
■紅花酒:キク科ベニバナ属の1年草または越年草。花が生薬・紅花(コウカ)。乾燥生薬20g/紹興酒900ml+35度900ml/砂糖0~150g。クセがあるので、飲みやすい紹興酒ブレンドにしてみました。25度焼酎で漬けてもよいでしょう。1週間で濾して仕上げる。紹興酒ブレンドなので中国料理にも合います。婦人病、冷え性、更年期、無月経、PMS、貧血、血行不良、動脈硬化予防、打撲、筋肉過労などに。妊婦は用いないこと。紅色・黄色系の植物染料として知られ、他にも口紅や食品の着色料として利用される。
■当帰(トウキ)酒:セリ科シシウド属の多年草・ニホントウキ。根が生薬・当帰(トウキ)。乾燥生薬100~150g/25~35度1.8L。2ヶ月で濾して仕上げる。新陳代謝促進、冷え性、貧血、めまい、腹痛、月経痛、月経不順、月経停止、更年期、頭痛、便秘、疲労回復、強壮、美容などに。妊婦は用いない。婦人薬の筆頭で、血を補い、血を和ませ、経を調える力が強い生薬です。中国の当帰は起源植物が異なり、近縁種のカラトウキ(唐当帰)です。なお、本州中部以北に分布する野生種は、ミヤマトウキ(イワテトウキ)で、近縁別種ですが同様に用いられます。

生薬処方の女性向け薬酒

■楊貴美(ヨウキビ)酒:楊貴妃が美容保健のために愛飲したという故事が名の由来。当帰(トウキ)、竜眼肉(リュウガンニク)、紅花(コウカ)、大棗(タイソウ)、芍薬(シャクヤク)、茯苓(ブクリョウ)、牡丹皮(ボタンピ)、香附子(コウブシ)、山梔子(サンシシ)、薄荷葉(ハッカヨウ)、柴胡(サイコ)、菊花(キッカ)、以上12種のブレンド。月経不順・更年期をはじめとする血の道症全般、血色不良、貧血、冷え性、精神不安、ヒステリー、美容などに。妊婦は用いない。活血作用が強く、生理中は月経過多になりやすいので控える。
■宜男(ギダン)酒:中国の『同寿録』という文献に出てくる薬酒。宜男は、婦人に直ぐに、また沢山の子供を授けるというような意味の代名詞になっているらしい。したがって不妊症の女性向きの薬酒といえるでしょう。枸杞子(クコシ)、杜仲(トチュウ)、胡桃肉(コトウニク)、当帰(トウキ)、竜眼肉(リュウガンニク)、茯苓(ブクリョウ)、牛膝(ゴシツ)、葡萄干(ブドウカン)、以上8種のブレンド。月経不調、精血不足、女性不妊、冷え性、血行不良、貧血、虚弱体質、肝腎の衰えなどに。