薬酒素材

植物性素材、動物性素材、鉱物性素材などがあります。また、状態によって生素材・乾燥素材や、丸ごと・刻みなどに分けられます。また、利用の観点から効果効能別に分類する人もいます。薬酒素材は、薬酒を作って飲んで効果効能があるか、あるいは効能が無いまでも害が無く美味しいか辺りで選ぶのが本来の形でしょう。とはいえ、効果効能が無ければ薬酒素材として意味がありません。したがって一般的には薬草とか生薬と呼ばれるものが素材の中心になります。難しく考えれば奥が深いし、簡単に考えれば日常的素材も多数あります。そこらへんを踏まえて、簡単なものからチャレンジしてみましょう。身近で有用な素材も紹介しますので。最後に、麻薬・覚せい剤・向精神性の成分が含まれる薬草、毒性の高い薬草は利用しないでください。よろしく。

薬酒の作り方―1

密封できるガラスビンに素材を入れ、原酒(主に甲類焼酎)を注いで冷暗所に保存し、抽出・熟成します。あとは漉して細口ビンに移せば出来上がり。極めて簡単です。各要素は2で説明します。

薬酒の作り方―2

■原酒について
基本的には無味無臭に近いホワイトリカー(35度)や甲類焼酎(25度)が向いています。これらは素材の風味を損ないませんし、なんといっても安いのが魅力です。ただ果実酒と違い、素材の風味がキツイものや好ましくないものもあります。そういう場合、風味のある酒を使って美味しく仕上げる方法もあります。ブランデー・ジン・ラム・ウォッカ・ウイスキー・ワイン・日本酒・紹興酒等ありとあらゆる酒が候補になります。ただし、原則アルコール濃度を20度以上にする必要があります。これは、抽出効率と保存性の問題です。たとえば、ワインを使う場合、35度ホワイトリカーと半々にブレンドすれば23度前後になります。なお、動物性の素材を漬ける場合は、40度以上の酒が欲しいところです。特に生素材の場合は45度以上で、高いにこした事はありません。これは、酸化や腐敗しやすいタンパク質や脂肪分が多く含まれているからです。以下に一般的なアルコール濃度の指標を書いておきます。参考にして、いろいろチャレンジしてください!
●植物性生素材:35度
●植物性乾燥素材:25〜30度
●動物性生素材:40〜45度以上
●動物性乾燥素材:35度でもよいが、理想は40度以上
★昆虫類は比較的水分が少ないので、35度でもよいでしょう。

素材と原酒の配合比
素材により、また植物の部位によっても大きく異なりますが、一般的な指標として挙げておきます。実際には素材ごとの作り方の項を参考にしてください。表示は、素材のg数:原酒のml数の比です。
●生果実(大形・中形):原酒≒1:2
●生果実(小形):原酒≒1:3〜1:4
●生の根・葉:原酒≒1:6〜1:10
●乾燥素材:原酒≒1:7〜1:20
●花は重さよりガサで見る方がよいでしょう。生は全体にいっぱいの量、乾物は半分くらいでよいと思います。ただし、紅花のように成分の強いものは少なめに漬けましょう。
★動物性素材は素材ごとに大きく異なりますので一概には言えませんが、1:15以下が普通でしょう。

■甘味料について
果実酒の場合は、一般的に氷砂糖やグラニュー糖を使います。これは、果実の風味を邪魔しないクリアーな甘味だからです。しかし、薬酒の場合は素材の風味がよいものばかりではありません。さらに、栄養的な事も考慮すれば、氷砂糖やグラニュー糖に限定せず、黒砂糖・蜂蜜・メープルシロップや甘草・ステビア・羅漢果などの天然成分も考えられます。また、入れないという選択肢もあります。生素材の場合、抽出効率を上げるために糖類を加えなければならないこともありますが、少なめに加えるのがよいでしょう。乾燥素材は細胞が死んでいてアナがあいているので、糖類を入れなくても抽出に問題はありません。糖類の場合、原酒1,800mlに対してMax.150gくらいで検討してみてください。

■成分抽出期間
これも素材によって大きく異なります。生素材はおおよそ以下のような感じです。
○花類≒2,3日〜1週間
○軟らかいベリー類(イチゴ・ラズベリー等)≒1〜2週間
○葉物≒2週間〜1ヶ月
○根・根茎≒2〜3ヶ月
○硬い果実類≒6ヶ月〜1年
また、カットすれば抽出期間は短くなりますので、早く仕上げたい人は薄めにスライスするとよいでしょう。乾物は、刻んだ生薬なら2週間〜2ヶ月、丸のままだと1〜6ヶ月、場合によっては1年以上かかるものもあります。

熟成・賞味期限について
抽出期間が終わったら、通常は漉して細口ビンに移します。コーヒーフィルターやキッチンペーパーなどを使って漉しましょう。人によっては一度漉し、素材を一つまみ程戻して熟成させる方法をとりますが、2度漉しする手間が大変なのと、忘れてしまうことを考えると、あまりお勧めできません。素材を漉さずに熟成することは、失敗の原因になりますのでやめたほうがよいでしょう。基本的に、抽出が終われば飲み始められますが、2〜3ヶ月置いた方がアルコールと成分が馴染んでまろやかになるようです。ただしイチゴ酒などは、逆に2ヶ月も置くと変色し、香りも飛んで美味しくなくなります。色や香りを楽しむものは注意してください。薬酒は長く熟成させる必要はありません。長期間置いても、基本的に高濃度のアルコールなので腐敗することはほとんどありませんが、成分や糖類の酸化や分解・劣化は起こります。2〜3年を賞味期限と考えるのがよいでしょう。樽熟成のウイスキーやブランデーではないので、10年物の**みたいなことは意味がありません。結局、飲まなければ効かない訳ですから。

ブレンドについて
風味や薬効を考えて素材をブレンドすることがあります。中国の薬酒の場合単独の生薬を漬け込むことの方が稀で、ブレンド(処方)が普通です。風味と薬効から、ブレンドのコツをいくつか紹介します。
@植物の場合、同じ種類(同科・同属)のブレンドは基本的に無難です。たとえば柑橘類、プラム属同士など。
@甘味主体の果実と酸味主体の果実。梅と桑の実、甘味主体の果実とレモンなど。
@薬草や生薬類は、効果が同じか補足しあう関係のものをブレンドするとよい。
@漢方ブレンドの場合は目的を決めて、生薬の帰経や効能を合わせると比較的処方しやすい。
@薬効が反対のブレンドや、酒に合わない(解熱成分や瀉剤成分を含む)生薬は避けてください。

薬酒の飲み方

いつ飲むか、どのくらい飲むか、どのようにして飲むか、特に難しい決り事はありません。ただ、一般的な注意事項を書いておきましょう。
●朝からお酒を飲むのは感心できません。やはり、仕事が終わった夜がよいでしょう。夕飯の前後がオススメです。なお、寝る前はお勧めできません。眠りが妨げられる場合があるからです。あくまでも酒なので、車や機械を運転する前は決して飲まないこと。
●飲む量ですが、果実酒の場合は悪酔いしない程度でよいのですが、薬酒の場合はあまり多量に飲むのは問題です。たくさん飲んだからといって、効果が増えるわけではなく、むしろ逆効果になることもあります。1回の量は30〜50mlくらいを目安にしてみてください。
●飲み方は自由ですが、成分の沈殿などを避けるために、タンニンを含む茶や赤ワインなどで割るのはお勧めできません。基本的には水・氷・お湯などで割るのが無難です。炭酸割りも一部を除いて問題ありません。

効果効能と注意点

■薬酒はあくまでもお酒ですから、酒が向かない疾病がある方は飲まないでください。たとえば、化膿性疾患・腫瘍性疾患・炎症性疾患・発熱性疾患・肝臓障害・創傷・アルコール中毒・などです。
■薬酒に向いているのは、未病や生活習慣・体質の改善・強化、老化予防などです。病気を治療するというより、予防が主体であり、予防療法の一つともいえます。薬酒が得意なものは、老化・衰弱体質・病後衰弱・食欲不振・血行不良・冷え・貧血・生理不順・不妊・更年期・美肌美容・精力減退・足腰衰弱・生活習慣の歪み・などです。中国には治療用薬酒もありますが、かなり難しい診断や処方が必要なので、一般には向きません。
■よく、明らかにお酒の飲みすぎで肝臓の数値が悪い人が、「肝臓にいい酒はあるかい?」と質問してきます。私は「お酒を止められますか」と聞き返します。止められないなら飲む量を8〜6割に減らし、代わりに肝臓に有効な生薬の入った薬酒を1杯飲むことをお勧めしています。同じ酒飲みとして、気持ちは解ります。「わかっちゃいるけど止められない」なのです。皆さんも飲酒は適量にして、お酒を悪者にしないでください。

素材の入手方法

★日常的な素材でも、出来るだけ国産・地元産のものを利用してください。地産地消が健康の第一歩です。
★野草や山野で採取する場合は、土壌や大気が汚染されてないところのものを利用してください。
★漢方薬膳素材は中国素材売り場や漢方薬局等で入手しましょう。
★大都市周辺の方は、卸売り市場や中華街など、珍しい素材が手に入るところにも足を運んでみましょう。
★海外旅行に行ったときは、現地の素材を探して漬けてみましょう。現地マーケットは素材の宝庫です。韓国や中国旅行をする方は、漢方薬市場もありますので、チェックしておきましょう。
★素材はあらゆるところにころがっています。意識して行動しましょう。また、ネットワークや人脈、インターネット、産直、物産展なども利用しましょう。

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